秋の健康診断シーズンがやってきました!
まだまだ暑さが続き、徳島県も熱中症アラートが止まりません!
熱中症には十分に配慮し、来院なさってください。場合によっては来院を見送り、涼しくなってきた時間帯で来院なさってください。
さて今回は健康診断について詳細にお伝えしていきます。
健康診断は何をするのか?についてご説明いたします。
健康診断は病院の設備にもよりますが、①身体検査②血液検査、尿検査、便検査③画像検査(レントゲン検査、超音波検査、CT、MRI)が一般的で
これらを組み合わせていくことになります。
では②血液検査について今回は詳しく説明いたします。
血液検査は犬、猫から採血をします。得られた血液を用いて各検査を実施します。
一般的に健康診断というのもパネル検査という概念があり、適当な検査項目をランダムに選定しているわけではありません。
やはり必要な項目を軸にして、年齢や動物種、基礎疾患、種特異性の病気などに向けた血液検査項目を追加(オプション検査)で検査することもあります。
当院ではすべての年齢に対して「16項目」の検査と「完全血球計算」を軸としております。
そこに年齢や症状に応じて、オプション検査を追加で実施します。
1.グルコース(血糖値のこと)
2.BUN(血液尿素窒素)
3.CRE(クレアチニン)
4.BUN/CRE(BUNとCREの比率)
5.SDMA(対称性ジメチルアルギニン)
6.P(血中のリン濃度)
7.Ca(血中のカルシウム濃度)
8.TP(血中総タンパク質量)
9.ALB(アルブミン)
10.GLOB(グロブリン)
11.A/G(アルブミンとグロブリンの比率)
12.ALT(肝酵素)
13.ALKP(肝酵素、骨などにも含まれる)
14.GGT(胆道系の酵素)
15.CHOL(コレステロール)
16.ビリルビン
追加オプション
+T4、FT4(甲状腺ホルモンのこと。高齢動物から推奨)
+BNP(心臓病、とくに容量負荷などが起きている場合。特定の犬種や猫種で推奨)
+Spec-cPL,fPL(嘔吐や下痢などが続く場合に推奨)
次に③画像検査について説明します。
上記の画像はエックス線画像(胸部エックス線)です。
胸部に限定してレントゲン検査を実施したり、腹部を含めることもあります。
場合によっては、頭、指、足なども撮影します。
この画像検査にて、判断することは
①各種臓器が正常な位置関係にあるのかどうか?
②各種臓器の大きさや形に異常はないか?
③各部位に「ないものがある!またはあるものがない!」 などを判定します。
上記画像は胸部の画像で、まず獣医師は皮膚からチェックしていきます。次に骨格や軟部組織(筋肉など)を確認します。
そして胸部の場合は、肺や気管系、心臓、血管系、横隔膜を確認します。
腹部の場合は、横隔膜、肝臓、胆嚢、脾臓、胃、膵臓、腎臓、副腎、膀胱、子宮などを確認します。
レントゲン検査は胸部を評価するのに最低でも2方向から撮影をして判断します。
多くの場合は麻酔や鎮静も必要とせず検査することができ、撮影時間も一瞬になります。
次に③画像検査の超音波検査について説明します。
超音波検査は音の振動を利用して各臓器の詳細(中身)を知るツールとなります。
音を利用するため、基本的には体への影響は無いとされています。しかし、ある程度の時間じっとしていなければなりません。
また人では息を吸ったままにして検査しますが、動物にはそれができません。
緊張と恐怖でハァハァとパンティングしたり、逃げようと暴れたりと画像がうまくだせない場合も多いです。
ですので、動物の性格や状況を考えて実施する可能性がある検査の一つです。
それでもとても得られる情報が多いので、非常に大切な検査の一つでもあります。
上記の画像は、2枚画像(左:左腎臓、右:左副腎)になります。
腎臓の隣に副腎という臓器がありますが、この症例では9.1mmの大きさになり明らかに副腎が腫大しております。
この場合には副腎皮質機能亢進症や、副腎腫瘍の疑いがでてきます。
残りのCTやMRIは麻酔が必須となりますので、健康診断で行うにはメリットとデメリットを確認しより慎重に行う必要があります。
ただし、当院ではCT、MRI設備はありませんので、検査希望にはお答えできません。
このように最低でも血液検査を軸に、画像検査も検討してみてください!
健康であることを証明することはとても大切です!
自分は健康だから!元気だから!といっても飼っている動物は自分ではありません!
ましてや、プロ目線(獣医師や動物看護師)で動物を診ることも困難だと思います。
長生きしてもらうためにも、ある程度の年齢が来た場合は健康診断を推奨しております!
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