病院ブログ

AED(自動体外式除細動器)を当院で設置しております!

2022.09.10 | お知らせ

ブログ第13話~AED(自動体外式除細動器)とは?~

医療ドラマで危機迫ったシーンで使用される機器で電気ショックと言い直すと馴染みがあるかと思います。
実は心停止した状態では電気ショックは意味をなしません。
本当は、心臓がけいれんし、血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器です。

2004年7月より医療従事者ではない一般市民でも使用できるようになり、病院や診療所、救急車はもちろんのこと、空港、駅、スポーツクラブ、学校、公共施設、企業等人が多く集まるところを中心に設置されています。

そうなんです。

一般市民でも取り扱うことができるのです。ただし、リアルな状況に自分がおかれたとして果たして、無駄なくAEDや心肺蘇生術を実施できるでしょうか?
このことで、当院スタッフに人間に対する救命処置とAEDの体験をしていただきました。

ではまず自分に救命処置ができるのか?想像してみましょう。

誰かが目の前で倒れた→大丈夫?→(無反応)→あれ?寝てるの?息してない?心臓動いてる?→いや、わたし医者違うしな。わからんよ。→救急車呼ぶ?

まず息をしているか?していないのか?
心臓が動いているのか?動いていないのか?
意識があるのか?ないのか?

みなさん、わかりますか?
まず心停止する、もしくは心停止しそうな状況にみられる特徴的な呼吸様式に「死戦期呼吸」というものがあります。
呼吸をしているようにも見えなくはないのですが、明らかに普通の呼吸とは違うため、呼吸停止と判断します。
下顎呼吸とも言い換えるのですが、心停止をすると酸素が運ばれなくなり、結果、全身の酸素欠乏状態になります。
体は酸素不足から酸素を取り込もうと呼吸!をしたいのですが、心停止をしているため、脳にも血液は運ばれないため結果的に呼吸ができない状態にあります。
でも酸素は欲しいという反射からくる呼吸とされています。なので、下あごだけ動かしているようにみえるため下顎呼吸と呼ばれます。
さらに酸素欠乏は悪化すると、「あえぎ呼吸」、「不規則呼吸」に悪化していきます。そして最後は無呼吸となります。

「死戦期呼吸」では息をしているように見えますが、実はほぼ呼吸はできていない状態にあります。
言い換えると酸素欠乏状態に陥っているため、ただちに処置が必要になります。
この状況を判断できた場合、まず、胸骨圧迫による心臓マッサージを行ってください。
本人が嫌がるようであれば、中止してください。嫌がるのであれば、意識がある可能性や心臓は動いている可能性が高いと判断します。
逆に抵抗がなければ心臓マッサージやAED、人工呼吸を開始してもよいと判断されます。
人工呼吸は周囲に他の人がいるのであれば、協力して行えますが、まずは心臓マッサージが必須になります。
その間に、AEDの準備を頼んでください。AEDがくるまで続けます。

ただし、あくまで呼吸の話です。ここでポイントなのは「死戦期呼吸」が起きている状況は心停止、もしくは心室細動を起こしている可能性があります。
実は心室細動が起きてから、1分経過するごとに7~10%も成功率が低下するといわれております。

日本の救急車の平均した到着時間は8.5分です。
つまり救急車が到着してから救急隊や医者が救命処置を実施した場合に成功する確率は10%低下×8分=80%低下=救命確率は20%になります。
なので、1分でも早く、心室細動を正常なリズムに戻す(AED)、心停止を再開させる(心臓マッサージ)ことが必要なのです。

AEDは種類にもよりますが、機械を開けると作動します。
さらに、音声でガイダンスが流れます。
ガイダンスの通りに、準備を進めていくと、自動で心臓の状態を確認してくれます。
心室細動の状態にあれば、機械に通電が開始され、ボタンを押すと電気ショックが流れます。
心停止の状態であれば、電気ショックは意味をなさないので、AEDは通電せず、心臓マッサージを誘導してきます。

当院のスタッフは動物の救命処置の勉強や経験はしていますが、人の救命処置となると話は別でした。
まず、胸骨圧迫による心臓マッサージができない人もいました。腕力が足りない場合にみられ、特に女性に多いと思います。
そして胸骨を圧迫する回数ですね。1分に100~120回も胸骨を圧迫する必要があります。1秒に2回の計算です。
これを救急車到着まで8分間するとなると、かなり大変な作業になります。

今回の体験では、あらかじめ知っておく事で、自分がその場面にいた場合に何とかしてあげなきゃ!という気持ちが生まれるようになり、
その結果人の命を救える可能性があることを実感してくれたと思います。使い方を知らないし、恥ずかしいし、ではなく、そこには今にも消えそうな命があることを
わかって行動に移せるようになってくれるとセミナーを開催したかいがあったかなと思います。

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