病院ブログ

Freestyleリブレを使ってみた

2024.09.05 | ブログ

久々のブログ更新となりました。
今回は「freestyleリブレ」について使用感と臨床的意味合いを説明しようと思います。
まずfreestyleリブレとは、良質な血糖コントロールを実現し、患者の豊富なグルコース情報を見える化するツールになります。
もともと人のツールで使用されていますが、どうやら犬猫にも使用可能であり様々な獣医師が使用感などを説明してくれていました。
実際に当院の患者様で糖尿病を罹患しているペットに使用させてもらい実際の使用感とメリットやデメリットを解説していこうと思います。
まずは実際のリブレの使用時の動画です。
動画①IMG_2030
次に装着時の全体像
画像①

たんたんと話が進みましたが、ペットが糖尿病を罹患した場合、人間と同じようにインスリンを注射する必要性があります。
インスリンはもともと膵臓から分泌されるホルモンでありますが、何らかの理由により膵臓から分泌されるインスリン量が不足したり、またインスリンの反応が鈍くなったりすることで
結果的に血糖値を下げることが難しくなるために高血糖状態が続きます。この状態(持続した高血糖)は同時に尿中に糖が出現することを意味するので結果的に「糖尿病」という病名となります。
治療は①インスリン製剤を注射する②食事療法になります。余談ですが2024年内に新薬としてあらたな概念の糖尿病治療薬が使用可能となります。
インスリン治療とは毎日インスリン製剤を注射しますが、治療リスクとして、低血糖を招くことがまれにあります。
人間は低血糖状態を自分で感覚的に判断できるので飴玉を持参していたり、食事をとってから血糖値を自分で測定してインスリンを注射するなど、低血糖に対する対応策があります。
ペットはどうでしょう。
ペットが低血糖状態かどうか飼い主様はわかりますか?いつでもペットのそばにいるわけではありませんよね?ご飯を毎回定時定量で食べてくれますか?
つまり、動物のインスリン治療でむずかしいのが、インスリン製剤の結果血糖値が低くなりすぎてしまうことにあります。

そのことを踏まえて糖尿病で入院治療をすすめることがあります。
理由はインスリンをどの程度の量を必要とするのか?を獣医師は判断しなければなりません。
1日1回?1日2回?注射が必要なのか?
1回のインスリン量と必要回数を設定するために入院が長期で必要になります。なぜ長期なのでしょうか?
インスリンの効果を判断するには血糖値の動きを1日単位で測定していかなければなりません。

イメージとして、朝・晩のインスリンが必要なペットの場合
9:00に朝食→血糖値測定のため採血→インスリン量を設定して注射
11:00~12:00→血糖値測定のため採血
14:00~15:00→血糖値測定のため採血
17:00~18:00→血糖値測定のため採血
19:00~20:00→晩御飯前に血糖値測定のため採血→インスリン量を設定して注射
あとは朝の流れで血糖値は動くと予想しますので採血の必要性は低いと思います。
夜中に採血をする人がいませんので実際はできないことがほとんどです。

このようなタイムテーブルを設定して血糖値の動きを1日区切りで測定して血糖曲線を作成します。
ちょうど良いインスリン量と回数が決まったらようやく退院となり、飼い主様に実際に注射を自宅でお願いすることになります。
この血糖曲線を作るための採血って動物にとっては大変ですよね。
そこでfreestyleリブレの出番というわけです。

デバイスを体に装着してもらうだけで、あら不思議⁉グルコース(糖)が測定できちゃうんですね。
実際には血糖値ではなく、間質内のグルコースを測定しています。
本来は食事をとると血糖値(血液中のグルコース)が上昇します。次に間質内のグルコース濃度も追いかけて上昇し両者は均等になります。
血糖値の上昇に反応して、膵臓からインスリンが分泌されることで血糖値(血液中のグルコース)が下がり、次いで間質のグルコースも同様に下がってきます。
そして両者は均等になります。
つまりは、血糖値が上がったり下がったりする時には多少のラグが生じますが、間質内のグルコースを計測するリブレは血糖値を測定していることと意味合いとしては同じになります。
わざわざ採血をして血中のグルコースを計測しなくてよいことになります。

ペットに採血を強いる必要性がなくなるので、入院費用や検査費用の軽減や採血による動物に対するストレスの軽減にあると思います。
血糖曲線を作成して安定した糖尿病ライフを送ってもらうためにはメリットのあるツールだと思いました。

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