病院ブログ

健康診断推進期間

2022.02.27 | ブログ

当院では犬猫の健康診断を推奨しております。

①身体検査(視診、聴診、問診など)
②血液検査(健康診断キャンペーン実施中です♪)
③画像検査(レントゲン検査、超音波検査:毛刈りをお願いする場合があります)

例えば、①・②を実施し、後日検査結果(約4~5日後)をお伝えします。
その結果を踏まえて、③画像検査などへ進むべきかを相談いたします。
また、心臓疾患が多い犬猫、シニア期の場合は①②の検査結果に関わらず③画像検査を希望される方もいらっしゃいます。

ついでに健康診断時の血液検査についてのウンチクを(笑)

「基準範囲」は正解(〇)、「正常範囲」は(△)

血液検査の結果を説明する際に、例えば「血糖値」が測定され、「血糖値」の基準範囲の中におさまっているかを確認します。
基準範囲は、ランダムに抽出した臨床的に健康な個体から検体を採取し、測定した結果から算出されます。一般的には測定結果のおよそ95%が当てはまる範囲を基準範囲として設定します。
逆に、5%はそもそもの定義から基準範囲から外れていることになります。この5%が大きいのか少ないのかは人それぞれ。20人に1人の割合です。
またこの基準範囲を「正常範囲」と言い換えて伝えてしまった場合、正常を超えたら異常と判断されます。このために、正常値や正常範囲という言葉は使用されなくなりました。

例えば CRE:1.6mg/dL 基準範囲0.6~2.1㎎/dL と結果がでます。

上記の結果の場合、この検査会社ではランダムに健康な個体から検体を採取し、95%の動物が0.6~2.1の範囲の中に収束しているために、この数値を基準範囲と設定しました。
ただし、5%は健康であるにも関わらず、0.6以下、2.1以上の検体もあったというわけです。
このため、わずかな基準範囲の外れは大きな問題は起こらないと判断しますが、シニア期や疾患好発動物の場合は念のために、経過観察を提案し、モニタリングを推奨しております。

では次の例え話で。

毎年の健康診断でヘマトクリット値が58%だった動物が、調子を崩して来院されました。迅速な検査の結果ヘマトクリット値が以下のような結果を得ました。

ヘマトクリット値:39% 基準範囲37~55%(貧血や脱水の指標になる)

基準範囲は95%の動物が37~55%の間に測定されていることより設定されています。結果は39%だから基準範囲に収まっているので安心だ♪

これは大きな間違いです。基準範囲の中はあくまで、健康な患者という条件が確約されてなければなりません。
この動物の場合具合を悪くして検査を受けていますし、元気な時の健康診断では毎年58%なので、58→39%へ減少していることになります。健康時の2/3程度まで減少していることになります。

このような場合は、毎年の健康診断を実施してもらっていたからこそ、「いつもと違う」ということに気が付いたことになります。
健康診断や血液検査を一度も受けたことがない場合は最初の結果のため基準範囲に収まっている場合は異常所見かを判断しにくくなります。

それでも動物が症状をしゃべってくれるのであれば異常に気が付くことも多いかと思いますが、言葉を発しない動物であるため健康診断は元気な時こそ受診していただくべきかと思います。

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