病院ブログ

犬におけるワクチン接種後アレルギー反応について

2022.04.11 | お知らせ

ブログ第9話~犬におけるワクチン接種後におこるアレルギー反応について~

犬においてワクチン接種後に様々な副反応が発生することが知られています。副反応にはアレルギー反応が含まれ、中にはアナフィラキシーショックによる死亡例も確認されます。このため、日本においても研究が盛んになり犬におけるワクチン接種後アレルギー反応の発生率や、その原因、発症メカニズムが判明されてきました。またワクチンアレルギーを起こす原因アレルゲンも同定されワクチン中のアレルゲン量を減らしたワクチンが開発されるようになりました。

ワクチン接種後アレルギー反応とは?
ワクチン接種後にみられる、「免疫介在性副反応」の1つであり、臨床症状としては以下の症状が確認されます。
・呼吸器症状:チアノーゼ、呼吸困難、呼吸促迫
・循環器(心臓、血圧など)症状:低血圧、低体温
・皮膚症状:顔面浮腫、痒み、紅斑、蕁麻疹
・消化器症状:嘔吐、下痢

さらに詳細な副反応を記載します
免疫介在性
Ⅰ型過敏症:アレルギー、アナフィラキシー
Ⅱ型過敏症:免疫介在性溶血性貧血、免疫介在性血小板減少症
Ⅲ型過敏症:ブドウ膜炎、全身性血清病
Ⅳ型過敏症:肉芽腫、脳炎、多発性神経根

非免疫介在性
ワクチン接種部位の局所反応、皮膚肉芽腫、肉腫(猫)
全身性の発熱、活動性低下
神経学的合併症
流産、不妊、先天性奇形
病原性の復帰
ワクチン接種後の病原体排出
ワクチン接種後脳炎

◆ワクチン接種後アレルギーの発生率は?
日本の動物病院で調査を進めた結果、ワクチン接種1万頭でアナフィラキシーが7.2頭という研究結果がでております。
しかしながら、海外での調査では日本より有意に副反応が少ない結果が出ました。

◆ワクチン接種後アレルギー反応の発症時のワクチン接種回数は?
研究の結果、接種回数が増えるほどアレルギー反応が多くなる傾向にあることがわかりました。ポイントなのは、初回ワクチン接種でもアレルギーを起こすことがあるということ。
2回目、3回目はワクチンへの感作があるため考えやすいのだが、感作がない初回接種のアレルギーにも注意が必要である。

◆ワクチン接種後アレルギー反応を起こしやすい犬種は?
日本及び諸外国において、以前から「ミニチュア・ダックスフント」がワクチン接種後アレルギー反応を起こしやすいと考えられている。
小規模な研究ではワクチン接種後アレルギーを起こした犬の36.5%がミニチュア・ダックスフントであったという結果もある。
日本では諸外国と比較して小型犬が多く、さらに「ミニチュア・ダックスフント」は群を抜いて人気犬種であるため、母数が多いと考えられている。
経験論ですが院長もアレルギーを起こした犬種で経験が多いのはやはりミニチュア・ダックスが多い印象を受けます。

◆ワクチン接種後アレルギーを起こしやすいリスク因子は?
・小型犬種
・混合ワクチン接種
・複数ワクチンの同時接種
・若齢犬
・去勢や避妊
・牛肉アレルギーの犬??

◆犬用ワクチン中のアレルゲン成分は?
アレルゲン解析の結果、アレルギー反応を起こした犬の大部分から牛胎子血清(FCS)に感作されIgEを産生していることが明らかになった。
また、FCS成分中のアレルゲン解析の結果、牛血清アルブミン(BSA)を含む様々なFCS成分が反応する可能性があることが明らかになった。
少数ではあるが、ワクチン安定化剤として「ゼラチン、カゼインなどの牛由来タンパク質」に対してもアレルギーを起こす可能性があります。

◆なぜ?犬用ワクチンに牛由来タンパク質が混入しているのか?
FCS(牛胎子血清)はウイルスを増殖させるために必要な培養液に含まれます。
BSA(牛血清アルブミン)はレプトスピラを増殖させるために含まれます。
例えば10種混合ワクチンは6種類のウイルス感染症の予防のためFCSを、レプトスピラ4種類を予防のためにBSAを含むことになります。

◆ワクチン接種後アレルギー反応と牛肉アレルギーの関係
健常犬にワクチン接種をすることで、ワクチン中のアレルゲンに感作されます。この時、牛由来タンパク質にも感作されるため、牛肉を接種した時にアレルギー反応を起こす可能性があります。
あくまで推測の域であるため、結論がでたわけではない。

◆ワクチン接種後アレルギー反応への対処法
・まずワクチン接種の必要性を考える→最適なのは接種しないことだが、ペットホテルやトリミング、カフェなど集団で集まる場所への利用ができなくなるデメリットや感染症への暴露のリスクも上がります。
・接種時にアレルギー反応を抑制する治療との併用→グルココルチコイドの投与。ただし、アナフィラキシー反応にはグルココルチコイドの投与は限定的であると推測されている。また生体への免疫反応を利用するワクチンであるため、免疫反応を抑制するグルココルチコイドはそれらを抑制する可能性も考えられている。

現在、日本では多くが1年に1回混合ワクチン接種!の風習がいまだに続いております。
それとは別にWSAVA(世界小動物獣医師会)はワクチネーションプログラムとして、
・コアワクチン(ジステンパー、パルボ、アデノウイルス)の成犬に対しての追加接種期間を「3年」を推奨
・ノンコアワクチン(パラインフルエンザ、イヌコロナ、レプトスピラなど)や不活化ワクチンの追加接種期間を「1年」を推奨
・可能であれば、抗体価測定を実施して追加接種の必要性を理論的に判断する。(抗体量の維持にはノンレスポンスなどの個体差があるため)

当院でも「無駄な追加接種」を避けるためには以下のことを説明しております。
(当院では5種混合ワクチンと10種混合ワクチン)
・5種混合ワクチン→3年毎、もしくは抗体価測定実施後に追加接種の是非を決めるプラン
・10種混合ワクチン→コアワクチンと不活化やノンコアを含むため、1年毎の追加接種または10種混合のうち不活化のみを1年毎追加接種

結論から言うと、とてもややこしいです。
まず、第一にワクチンによる健康被害は必ず存在します。可能であれば接種頻度を減らすことを目標にしたいと考えています。
ただし、抗体量の維持や確保はそもそも個体差があるため、理想は抗体価測定後の追加接種の必要性を問うことであるが、抗体価測定費用がその壁となりえます
コアワクチンであれば3年毎という考えで大きくズレはしませんが、念のために抗体価を測定すると抗体価ギリギリという結果になることもあるため、追加接種を検討することもあります。
ただし、ノンコアを含めたワクチンを接種することが多いため、現状は1年毎が当院の患者様でも最も多いと認識しております。

上記の考え方と抗体価測定を軸に混合ワクチン接種の必要性を問うだけでなく、一度でもワクチンで健康被害がでた動物に対しては接種の必要性を考えて相談していきたいと考えております。

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