病院ブログ

あれ?血が止まりにくいなぁ…

2021.07.02 | ブログ

ブログ第1話 「止血(しけつ)の仕組み」

小さい頃、よく転んで擦りむいてカサブタを作った事ありませんか?
このカサブタこそ止血(しけつ)の結果なのです!
ブログ第1話では「カサブタ=血を止める」メカニズムを説明していきます。少し専門的な用語がでてきますので覚悟してください!

止血はまず「一次止血」⇒「二次止血」⇒「線溶」 という流れで起きている「現象」です。あくまで現象の結果、出血が止まっています。
ではまず出血することからイメージしてください。手を切ると血が出ますね。
これは血管が切れて血液が漏れ出したことで起きています。
目では確認できないほどの細い血管から視認できるほどの太い血管があり、大半は細い血管が切れてることがほとんどだと思います。

「出血」のイメージは沸きましたか?
では次は「止血」のイメージを具体化していきましょう!

「止血」は「血小板」が切れた血管の穴を埋めるように集まり出します。(血小板の粘着と凝集)。
この結果、血小板血栓を形成し、穴があいた血管に仮の壁が形成され出血が止まります。これが「一次止血」です。

次に「二次止血」が起こります。
一次止血で形成された血小板血栓は実は脆いため更なる強化を必要とし、血液凝固反応を起こす必要があります。
凝固反応が起こると形成されるのが、「フィブリンの集まり=フィブリン血栓」です。
血小板血栓を囲うようにフィブリン血栓がさらに形成されて強固な止血を行えるようになります。

止血が完了したら、フィブリン血栓は血流の邪魔になるので、線溶が作動し、フィブリン血栓を溶解します。
最終的には、血管壁の穴が再生され血管が修復されて終了します。

なぜ止血のメカニズムをいちいち説明したのか?

実は、「止血ができない病気」がこの世の中には存在します。人間、犬、猫、、、、

多くは先天的な病気で発見され、症状が出れば発見されるというケースもあれば、手術をして初めて血が止まらない動物とわかるケースの場合も少なくありません。

今回の話をまとめますと、「止血」ができるには
・血小板数がしっかりあること
・血小板が集まれること
・フィブリン血栓ができること
これらがすべて成功して止血ができており、どれかが一つでも失敗したならば、結果として起きている現象は「止血異常」です。血が止まりません。。。。。
つまり、上記3行程のどれかで先天的な疾患により「止血の機序」が成立しないため、血が止まらなくなります。

当院ではこれらの疾患の有無を手術前にしっかり判断することが必要と考えております。(多くは確定診断が困難であることが多いですが)
もちろん止血異常の病気は僕ら獣医師にとっても稀な疾患ではあるため、ほとんど診察することはないと考えております。
しかし飼い主様にとってはたった一人のペットですよね。。。

このため、当院では手術前検査として全身麻酔リスクの評価のために①血液検査と止血異常のリスク評価のために②凝固能検査をお願いしております。
ご協力よろしくお願いいたします。
末広動物クリニック 院長 上野

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